ひと昔まえではむし歯の治療で削った跡をアマルガムという金属で修復する治療が主流でありました。

とても小さなむし歯でもアマルガムで修復されていたり。（ご高齢の方だと前歯にアマルガムが入っていることもありますよね。）

しかし、今日ではむし歯で使う材料はとてもとても進化しており、今では小さなむし歯の治療であれば、一番の選択肢に上がるのはCRではないでしょうか。

奥歯にできたむし歯にCR、もちろん前歯のむし歯の治療にはCRが大いに役立ちます。

ただ大きすぎるむし歯や歯の状態によりますが、やはりCRの適応というものは昔と比べると格段に広がっていると思われます。

それではCRの利点や欠点、そして適応をみていきたいと思います。

★光重合型コンポジットレジン（通称光CR）とは

光CRとは歯科用に開発されたプラスチック（樹脂）のことです。
容器に入っている時は柔らかいのですが、簡単に形を整えることができ、思った形で固めたい時に専用の光を当てると硬化します。（昔はキセノンランプでしたが今はLEDが普及したためかなり短時間で固まります！）

ひと昔の光CRは、接着剤が今より優れておらずすぐに脱離したり、素材自体が割れやすかったりと、むし歯でも治療に使われる部分に関してCRが使える範囲が限られていましたが、接着剤やCR自体の成分の開発が見違えるほど進み、きちんとした手技で治療を行えばすぐに取れることはなくなっています。また素材の強度も格段に強化されていますので、奥歯のような力のかかる部位でも優先的にCRが選択され使われております。（ただし歯ぎしりがある方や極端にかみ合わせの強い方は欠けます・・・）

また、審美面でもとても優れており、歯に近い白色が沢山あるため、歯の白といっても色んな選択肢があります。

むし歯を埋める治療だけではなく、歯と歯の間が空いたすきっ歯でも修復するのに使用したりします。

★光CRの利点

・ほとんどの場合は１回で治療が終わる

むし歯を取り除き、その部分にコンポジットレジンを詰めて終わるため、治療はその日１回で終わります。
インレーと言われる詰め物の場合、型取りをして、できてきた詰め物を付けるため、治療には２〜３回かかります。

・その他の歯に合わせた色や形に合わせられる

CRは白い樹脂（プラスチック）で出来ているため、CRを詰めた部分であっても元の自分の歯と判別がつかないくらい、色や艶感などきれいに治すことができます。

・歯を削る量が少ない

CRの治療の場合は、最小限の侵襲にてむし歯を除去し、むし歯を除去した部分にCRを埋めていくため、インレーと言われる部分的な詰め物よりも歯にかかる負担は最小限に抑えることができます。（むし歯が大きすぎるとCRの適応外になりますが…）

・保険治療なのでコストを抑えられる

当院ではむし歯治療での光CRは保険治療で行っております。

できる限り負担を少なく、審美的にもきれい治るように最善を尽くしております。

自分が治療を受ける時を考えるときれいに治してもらいたいので笑

 

・口腔内のメタルフリー化に向けて

光CRは保険で使われる銀歯と違い、金属アレルギーの心配をすることなく治療を受ける事ができます。

・万が一再治療となった場合

昔行ったCRから再治療になった場合、むし歯になったところだけを除去し、むし歯を除去した部分にCRにて治療ができるため、再治療になった場合でも治療が行いやすいです。

★コンポジットレジンの欠点

・時間の経過で変色することがある

CRの治療後は、CRの表面を仕上げ磨きでピカピカつるつるにするので表面は艶がありますが、長く生活をしていくとお口の中のCRは劣化し表面の艶がなくなったりザラザラとしてきます。

ザラザラした表面になると茶渋やタバコのヤニなどのステインがつきやすくなり着色しやすくなります。

・時間の経過ですり減る

CRは素材の進化により色んな部位に使われるようになりましたが（力のかかる咬合面など）、素材自体が樹脂（プラスチック）が主体

なため、天然の自分の歯やセラミックやジルコニアと比較すると劣化しやすいと言えるでしょう。

毎日の食事や、寝ている間の歯ぎしりなどがあった場合CRの表面が劣化が進む場合があります。
CRがすり減っていく事で噛み合わせがくるってきたり、表面がザラついて着色しやすくなります。

また、歯と歯の隣り合わせになっている部位（隣接面）にCRで修復した場合、CRがすり減る事で、食べ物が挟まり詰まりやすくなります。

・割れたり取れたりする事がある

CRはセラミックや銀のインレーと比べると材質的に強度が弱いため、強い力がかかることで材料に歪みが出て割れてしまったり、ポロリと取れる事があります。

頻繁にCRが割れたり脱離してしまう場合は、CR以上の強度のある材料で修復することをお勧めしております。

★コンポジットレジンで適応できるむし歯とは

材質がかなり進化したためCRでの治療の適応範囲はかなり広がりました。

ただ万能ではないため適応となると極度に力がかからない部分や比較的小さなむし歯の治療が適応となります。

特に前歯であると奥歯より力がかかりにくいためCRでの治療が最も多くなるでしょう。

ただ残っている歯の量で強度を持たせるため被せ物になる場合もあります。

★まとめ

今回はむし歯の治療で頻繁に用いる、保険の白い樹脂（プラスチック）である『CRコンポジットレジン』について記事を書きました。

光CRは「自分の天然の歯に近い色に合わせられる」「むし歯での治療が１回で終わる」「歯を削る量が最小限なため歯に負担が少ない」等多数のメリットがあり、ひと昔前と比較して材料の進化によりむし歯の治療の選択肢が広がりました。とても画期的な進化を遂げた歯科材料と言えるのではないでしょうか。

しかし主な材質がプラスチックのため、変色や脱離など劣化することは避けられないですし、むし歯の大きさによっては適応外になること等がデメリットではないでしょうか。

小さいむし歯でしたらCRで治療できることが多いです治療回数も少なく通院も最小限で済みます。

そのためには普段から定期検診を行い、むし歯の早期発見・発見からの介入するか経過観察を行うかなどで全体的な治療回数や治療にかかる費用を最小限に抑えることができるでしょう。